犬2頭と一緒に暮らす

我が家のミニチュアシュナウザーとゴールデンレトリバーの他愛もない雑記ブログ

貧乏生活物語 ~驚愕の小学生~

B君達と遊ぶようになって、毎日楽しくなってきた。

最初の頃はサッカーや野球など、小学生が遊ぶような事をしていた。

当時インベーダーゲームが流行して、我が街にもゲームセンターができた。

仲間内の1人が親の財布から1万円を盗んできた。

その友達が「このお金でゲームセンターで遊ぼうぜ」と、みんなに声を掛けてきた。

当然だが私もみんなも大喜びをした。

興奮しながら駆け足でゲームセンターまで向かった。

その日は、思う存分ゲームをしまくった。

1度味わった快楽を忘れられないものだ。

次の日からゲームしたいが為に、自動販売機の下や、釣銭口にお金を取り忘れていないか、街中の自動販売機巡りをした。

時には電車に乗って都内まで行き、自動販売機を探して釣銭口や下にお金が落ちていないか探し回った。

しかし、なかなか落ちていない。

そんな中、B君が突拍子もない事を言い出した。

「カツアゲしようぜ!そうすれば手っ取り早くお金が手に入るよ」と妄言を吐いた。

友達の1人が「誰からカツアゲするの?」「簡単かな?」と前向きな質問を言いやがった。

私は意気地なしなので心の中でネガティブな言葉しか出てこない。

無視、出来ない、殴られて死ぬ、捕まる。

B君が「高校生ぐらいなら金もってるだろう」とターゲットを絞っていた。

周りがざわめく。

意を決しB君に意見具申をする私。

もう完全に同級生扱いしていない私が居た。

あの~高校生相手にカツアゲなんて無理だよ。

大人と子供の体格差があるし、力も向こうの方が上だよ。

殴られて終了で最悪、警察に捕まっちゃうよ。

と止めさせようと意見を述べたがB君は、「大丈夫だよ!ひ弱そうな奴を捕まえてカツアゲするから」

他の友達もB君の提案に前向きになっていった。

もう止められない。

不安げな顏をした私にB君が「心配するなよカツアゲって言ったって借りるだけだから」と笑顔で私にそう答えたB君。

自分を安心させる為に「借りるだけ・借りるだけ・後で返すんだ」と暗示を自分に掛けた。

駅に向かう高校生二人組が前から歩いてきた。

B君が「よし、やるぞ!」とみんなに号令をかけた。

「ペンギン侍、あいつら呼んできて。俺たち路地の裏で待機しているから、そこまで連れてきて」と、言い残し少し離れた路地裏へと消えていった。

私の頭は、真っ白。

緊張と不安でガクガク震えだす。

それでも高校生たちは私の方に近寄ってくる。

私は必死に出来ない言い訳を考えるが思いつかない。

みんなが隠れている路地からB君がこちらを覗き込んでいる。

もう逃げられない。

声を掛けなかったらB君や仲間から怒られる。

仲間外れにされるかもと思い勇気を出し高校生に声を掛けた。

あの、向こうで呼んでいる人がいるんですけど来てもらえますか?

不思議そうな顔で高校生達は仲間がいる裏路地までついてきた。

路地裏にはB君をはじめ、仲間が数人待ち構えている。

B君が高校生に凄みを利かせて「ね~お金貸してくれない?」と言い放つ。

当然だが高校生達は「お金なんて持ってないです」とひ弱な声で返事をしてきた。

すかさずB君は「持ってねー訳ねーだろう。財布見せろよ!出せよ!」

もう完全にチンピラの様になっていた。

渋々高校生達は財布の中からお札数枚をB君に差し出した。

まぢで?と驚く私と仲間達。

別れ際B君が高校生に「これ貸しね」と笑顔で言っていた。

相手の高校生も差し出したお金が戻って来るとは思ってないだろう。

高校生が去った後、みんなで顔を見合わせてニヤける。

小学生が高校生相手にカツアゲできるなんて信じられなかった。

それから何度も、高校生相手にカツアゲをした。

中には立ち向かってくる高校も当然居たが、その時は全速力で逃げる。

これを機に、どんどん悪への道に進んでいった。

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当時、南浦和には1店舗のゲームセンターしか無かった。f:id:ysnyn658:20210106140625j:plain

プレハブで建てた簡素なゲームセンター。

そのゲームセンターがあった場所は、今モスバーガーが入っているビルだ。

右側に焼き鳥屋さんで左側にゲームセンターがあった。

当時1プレイ100円と今と変わらない値段。

当時と物価が違うから当時の100円がいかに高かったか。

高校生相手にカツアゲしてお金を巻き上げる。

そのお金を手にしてゲームセンターに行く。

しかし毎日ゲームが出来る訳ではない。

毎日ゲームがしたい。

どうすればゲームが出来るのか考えた。

そうだ!ここで働ければゲームし放題!!

そう短絡的に考えた私は、お店のオーナーにお願いをしてみた。

「ここで働かせて下さい!両替や台の掃除をするよ」

「だから社長はパチンコにでも行ってよ」と、小学生であった私は、ゲームセンターのオーナーに話を持ち掛けた。

最初は断られたが、何度もしつこく言い続けた。

根負けしたオーナーは、私が働く事を認めてくれた。

働く対価としてお金をもらうのではなく、働いた分だけゲームをさせてもらう事にした。

B君たちと遊ばない時は、ゲームセンターで働いていた。

今はお札を両替機で小銭に替えるが、当時は手渡しで両替えをしていた。

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今はコンビニになっているが、当時はパチンコ屋さんが2店舗並んで営業していた。

当時、南浦和東口には3店舗のパチンコ屋さんがあった。

その中の1店舗で働く事になる母。

母が仕事をしていた時、給料日後パチンコに行っていた。

お金が無いからギャンブルで儲けようという底辺の発想。

たまに儲ける時もあるが負ける時の方が遥かに多い。

たまに勝った時は、駅前のパチンコ店2Fのキャンディという喫茶店でオレンジジュースを飲ませてくれた。

そのオレンジジュースがめっちゃくちゃ美味しくて、私にとっては贅沢な飲み物だった。

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